ヒュージ・リーダーズ《碑出告と開璃/Hidetsugu and Kairi》(コロッサル)

こんにちは。グスタフ・クリムトです。

普段は絵を描いたり配信したりしています。

今年は動画を作りたいですね。

 

今回は統率者戦の変種フォーマット、ヒュージ・リーダーズパワーレベル: コロッサルで使っている《碑出告と開璃》の解説記事になります。

正直なところ、このデッキを記事にするかはかなり迷いました。このデッキは高速コンボに分類されるデッキで、一人回しは楽しいのですが《碑出告と開璃》の性質も相まって対戦相手からすると対処が困難で非常に強力……つまり、ガチデッキなのです。コロッサルは禁止されているカードを除けばやりたい放題できるパワーレベルですが、コロッサルの中にもカジュアルなゲームが存在することに留意する必要があります。参考にされる方はその点にも注意してください。

統率者

《碑出告と開璃》は3つの能力を持っています。少々複雑ですが、紐解いていきましょう。

  1. 飛行
  2. 戦場に出たときにカードを3枚引く。
    手札からカード2枚を自分のライブラリーの一番上に望む順番で置く。
  3. 死亡したとき、対戦相手1人を対象とする。
    自分のライブラリーの一番上のカード1枚を追放する。
    対象に取られたプレイヤー追放されたカードのマナ総量に等しい点数のライフを失う。
    追放されたカードがインスタントやソーサリーである場合、マナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。

要約すると、戦場に出たときにライブラリーの一番上を操作し、死亡したときにライブラリーの一番上からインスタントもしくはソーサリーの踏み倒しを行う。そのついでに対戦相手1人のライフを削るという能力を持っています。

死亡してすぐにライブラリーの一番上をめくりたくなりますが、先に対戦相手1人を対象に取ることを忘れないようにしましょう。

《碑出告と開璃》は5マナで、通常の統率者戦ではその重さが少し気になるところですが一転してヒュージ・リーダーズでは最軽量クリーチャーです。軽量の妨害というものが限られており、ダメージや破壊による除去では死亡したときの効果を誘発させてしまうことから《碑出告と開璃》はフォーマットに合致している統率者の一人(二人?)と言えるでしょう。

そんな《碑出告と開璃》はこんな人にオススメの統率者です。

  • 一人回しが好きだ
  • 高速コンボで人を轢き倒したい
  • 呪文を連打して気持ちよくなりたい
  • クリーチャーを酷使して気持ちよくなりたい

コンボ

ここまでのセクションでこのデッキが高速コンボであることに触れていますが、実際のコンボの流れを見ていきましょう。

  1. 《碑出告と開璃》を戦場に出す。
  2. カードを3枚引く。
  3. 手札にあるカード2枚をライブラリーの一番上に置く。このとき、墓地からクリーチャーを戦場に出すインスタントもしくはソーサリーの呪文(以降これを蘇生呪文と表記)が一番上になるようにする。

  4.  継続的に生け贄に捧げられる手段(以降これをサクり台と表記)を用いて《碑出告と開璃》を生け贄に捧げる。このとき死亡した《碑出告と開璃》は統率領域に戻さず、墓地に送る。

  5. 《碑出告と開璃》が死亡したときの能力が誘発する。対戦相手1人を対象に取り、ライブラリーの一番上のカードを追放する。
  6. 対象に取られた対戦相手は、追放されたカードのマナ総量に等しいライフを失う。
  7. マナ・コストを支払わずに追放されたカードを唱える。これにより《碑出告と開璃》が墓地から戦場に戻る。
  8. 再び《碑出告と開璃》が戦場に出たときの能力が誘発。カードを3枚引き、蘇生呪文がライブラリーの一番上になるようにカードを置く。
  9. 大量に含まれている蘇生呪文をライブラリーから引き続けられる限りこの手順を繰り返すことができるので、その分だけ対戦相手1人のライフを失わせる効果も繰り返されて勝利する。*1

コンボの手順は上記の通りですが、基本的にはライブラリーの一番上に置くカードを工夫することで《不浄なる者、ミケウス》《トリスケリオン》を墓地に揃え、《生ける屍》などの全体蘇生呪文によってこの2体を戦場に戻すことによって可能になる無限ダメージによる勝利*2を目指します。

デッキリスト

▲ 随時更新。

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解説

《堕天使》ほか

 

Scryfallを駆使して探し回った珠玉のサクり台です。

5マナ以上でテキストに「Sacrifice」と「Creature」が含まれる黒と青と無色のカードを全部見ました。

ここにいないものはタップが必要だったり、マナを要求されたり、アップキープなどの限られたタイミングでしか生け贄にできなかったりと取り回しにやや難があるものだったので、この項目はヒュージ・リーダーズ黒のサクり台を使いたい人にとって参考になると思います。

Scryfallは条件を決めてカードを検索できるのはもちろん、ビジュアルで検索結果を表示してくれるのでヒュージ・リーダーズのデッキを組むときはめちゃくちゃお世話になります。言語が変更できるのもポイントですね。オススメです。是非使ってみてください。

《吸血鬼の大将軍》再生に詳しくない方からすると「この能力は何度も起動できないのでは?」という印象を抱くかもしれませんが、問題ありません。再生は最近のものだと盾カウンターと挙動が近いです。破壊のみに反応する、カウンターで管理しない盾カウンター(ただし破壊を肩代わりした後にタップする)といえばイメージしやすいでしょうか。《吸血鬼の大将軍》の注釈文にも詳しく書いてあるので、そちらを読むとより理解が深まるでしょう。再生は盾カウンターとは異なり、カウンターで管理しないので分かりづらいのですが、なんとストックができます。*3つまり、能力を2回起動すると破壊を2回肩代わりしてくれます。なので再生による盾(と便宜上呼びます)をたくさん貰うために《吸血鬼の大将軍》の能力を何度も起動することは適正なのです。

《サディストの催眠術師》の能力は自分を対象に起動することもあります。自分の手札にある《不浄なる者、ミケウス》《トリスケリオン》を捨てることができるので覚えておきましょう。

《死体生まれのグリムグリン》も自身がアンタップ状態でも問題なく起動できます。

《サモン・アンデッド》ほか

    

切削(あるいは諜報)がついた蘇生呪文です。あればあるだけ《碑出告と開璃》が強くなるので、新しいものが登場するのを楽しみにしています。

使い方としては、

  1. 《碑出告と開璃》を戦場に出す。
  2. カードを3枚引く。
  3. 手札にあるカード2枚をライブラリーの一番上に置く。このとき、切削がついた蘇生呪文が一番上に、その下に墓地に落としたいカード不要なカードが続くようにする。
  4. サクり台を用いて《碑出告と開璃》を生け贄に捧げる。このとき死亡した《碑出告と開璃》は統率領域に戻さず、墓地に送る。

  5. 《碑出告と開璃》が死亡したときの能力が誘発する。対戦相手1人を対象に取り、ライブラリーの一番上のカードを追放する。
  6. 対象に取られた対戦相手は、追放されたカードのマナ総量に等しいライフを失う。
  7. マナ・コストを支払わずに追放されたカードを唱える。これによりライブラリーの一番上のカードを切削しながら《碑出告と開璃》を墓地から戦場に戻す。
  8. 再び《碑出告と開璃》が戦場に出たときの能力が誘発。カードを3枚引き、蘇生呪文がライブラリーの一番上になるようにカードを置く。切削しているので新しいカードを引くことができる。

このようにライブラリーの一番上をどんどんリフレッシュしていくことで新しいカードを引いてさらなる蘇生呪文にチェインしていくのが《碑出告と開璃》の基本になるので、これらのカードは特に重要といえるでしょう。

 

他にも《不穏の標》シャッフルによって、《宿命的復活》占術によってライブラリーの一番上をリフレッシュすることができます。《宿命的復活》ヒュージ・リーダーズの歴史を記した教科書が出版されるのであればまず間違いなく取り上げられるであろう呪文の1枚である《アミナトゥの占い》が禁止される前はインスタントであることにも価値がありました。

《光素蓄積のスカーブ》、《深海の破滅、ジャイルーダ》

全体蘇生呪文(後述)によって釣り上げたときにライブラリーの一番上を切削できるクリーチャーです。切削によってライブラリーの一番上をリフレッシュしたり、《不浄なる者、ミケウス》と《トリスケリオン》を墓地に揃えることが重要なので《深海の破滅、ジャイルーダ》の踏み倒しには期待していません。しかしながら《不浄なる者、ミケウス》と《トリスケリオン》は共にマナ総量が偶数なので、稀に釣り上がることがあります。《光素蓄積のスカーブ》は戦場に出たときに自分の墓地から蘇生呪文をライブラリーの一番上に積み込むことができるので、蘇生呪文が途切れることがありません。また、《深海の破滅、ジャイルーダ》《光素蓄積のスカーブ》はどちらも青のカードであることから《意志の力》《誤った指図》のコストとしても使えます。

 

今回のリストでは採用していませんが、ヒュージ・リーダーズのカードプールには要注意カード《徴用》も含まれているので通常の統率者戦よりも青のカードであることの価値が高いと言えるでしょう。

今回のリストでもロリアンの発見》海門修復》は土地としても扱える青のカードである点を評価しての採用となっています。

 

《生ける屍》ほか

  

全体蘇生呪文です。この呪文を唱えて《不浄なる者、ミケウス》と《トリスケリオン》を戦場に揃えるのが目標となります。《生ける屍》《黄昏の呼び声》は相手のクリーチャーも戦場に戻してしまうので注意しましょう。《多元宇宙の突破》などは自分だけでなく相手のライブラリーも切削します。

《墓入りの妨害》、《末永く》

 

全体ではないものの、複数のクリーチャーを墓地から戦場に戻せる呪文です。とはいえ、《墓入りの妨害》はパーティーに含まれる4種のクリーチャー・タイプのいずれかを持つクリーチャーしか追加で戦場に戻せません。

戦士です。《墓入りの妨害》1枚で墓地から《碑出告と開璃》とサクり台を揃えることができます。

クレリックです。もう1体墓地から戦場に戻せます。後はもうお分かりですね。

《失われた宝物庫の学者》

ヒュージ・リーダーズで最も愛されたスフィンクスでしょう。《アミナトゥの占い》が禁止されるまでは、《アミナトゥの占い》から追放されてそのまま《アミナトゥの占い》をもう一度唱える動きが凶悪でした。このデッキでは《多元宇宙の突破》などで墓地に落ちてしまった全体蘇生呪文を唱える役割を持ちます。が、役割が少々狭く《アミナトゥの占い》が禁止された今では優先度が低いかもしれません。青のカードである点は評価しています。

早く再録して日本語で刷ってくれ!!!!

《時間の伸長》、《エルドラージ覚醒》

 

追加のターンを得られる呪文です。《碑出告と開璃》を墓地から戦場に出すことはできませんが、追加のターン中に手札からマナを払って蘇生呪文を唱えることで問題なく動くことができます。なので、このデッキでは対戦相手のライフを大きく失わせることができるマナ総量が高い蘇生呪文よりも手札から唱えやすい蘇生呪文が優先されています。対戦相手のライフを失わせる効果が重要視されていないとも言えますね。

追加のターンを得ることで獲得できる一番の恩恵はクリンナップ・ステップです。《碑出告と開璃》はチェインが繋がるごとに手札がどんどん増えていきます。なかなか手札が減らないというヒュージ・リーダーズの性質も相まって、手札が8枚以上になることも珍しくありません。そのままクリンナップ・ステップを迎えることができれば、手札から大量のカードを捨てることができます。もうお分かりかもしれませんが、手札に《不浄なる者、ミケウス》や《トリスケリオン》があればそれらを捨てて全体蘇生呪文からの無限ダメージへの準備に充てることができます。

《ダクムーアの回収場》

先に墓地に落としておくことで擬似的な切削として使える土地です。統率領域から《荒地》をプレイすることで手札を溢れさせてクリンナップ・ステップでカードを捨てるヒュージ・リーダーズ頻出のテクニックも利用していきましょう。《碑出告と開璃》が戦場に出たときのドローを《ダクムーアの回収場》が持つ発掘に置換することでライブラリーの一番上をリフレッシュできます。

《肉体の裏切り》

掲載時のリストでは採用されていませんが紹介。除去蘇生、あるいはその両方を選べる珍しい蘇生呪文です。このデッキは《碑出告と開璃》が戦場に出たときの誘発型能力を前提に構築されているので、《機械の母、エリシュ・ノーン》で詰みます。

ですが、《肉体の裏切り》があればその状況を打開することができるようになります。うーん、やっぱり採用した方がいいのかも。

最後に

《碑出告と開璃》でデッキを組むに至った経緯を少し語らせてください。

僕が引っ越しをする前、地元にある小さなカードショップCARDSHOP蒼猫亭にめちゃくちゃお世話になっていました。ある日手ぶらでカードを買いに行ったところ、店長さんから「デッキを貸すので、統率者の大会に出てみませんか」と誘われました。CARDSHOP蒼猫亭では統率者デッキの貸し出しが行われていて、借りて遊ぶことができるデッキの一つが《碑出告と開璃》を統率者に据えたデッキでした。《碑出告と開璃》をサクり台で生け贄に捧げて、蘇生呪文をどんどんチェインさせていって対戦相手のライフを削りきることがコンセプトになっていました。僕は「店長さんが言うのなら」とデッキを手に取り、簡単に使い方を教わって試合に臨みました。その試合でチェインコンボを成立させて勝利を収めた僕は、すぐにある閃きに至ります。

これは、ヒュージ・リーダーズでも成立するのでは……?

あの日、あのカードショップであのデッキを借りることがなかったら《碑出告と開璃》に興味を抱くこともなかったかもしれません。このデッキが生まれることもなかったでしょう。CARDSHOP蒼猫亭の店長さんには本当に感謝しています。CARDSHOP蒼猫亭はとても良いところなので皆さんも神戸に立ち寄った際には是非訪れてみてください。営業日と営業時間が限られているので、よく確認してから行きましょう。新枠あたりのカードが綺麗にファイリングされているので「何それ……」と言われそうなカードを手に入れるときに本当にお世話になりました。当たり前ですがよく使われるカードや新しいカードも取り扱ってますよ!帰省したらまた行きたいです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

《碑出告と開璃》はシンボルが濃いので適当な手札でキープすると5マナあっても唱えられなかったりするので気をつけてください。

皆さんもクリーチャーを酷使して対戦相手のライフをめちゃくちゃにしましょう。

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*1:ヒュージ・リーダーズではプレイヤーの初期ライフは25点。

*2:《不浄なる者、ミケウス》によって不死を得た《トリスケリオン》が+1/+1カウンターを対戦相手と《トリスケリオン》自身に撃ち込むことで、無限に《トリスケリオン》が戦場に戻りながら無限にダメージを与えられるコンボ。

*3:僕はストックできないと勘違いしていたのですが、このことを認定ジャッジのKazuhisa Hamasakiさんに教えていただきました。この場を借りて感謝します。